吃音の発達と段階

吃音矯正支援

吃音の発達と段階

一次性吃音

あなたが吃音を意識し始めたのは、一体いつ頃からでしょうか。吃音の発生は、その大半が2才から4才の幼児期ですが、その時期は、吃音の本人はどもっていることを意識しておらず、ただ緊張したり、あわてたりした時にだけ、どもったりします。だから相手を選ぶこともなく、言葉を特別意識することもなくどもっても平気でいます。

このように言語発達課程における正常な範囲の非流暢性、つまり口ごもりや繰り返しなどを一次性吃音と呼んでいます。

この一次性吃音の特色は、言葉はなめらかではないが、子供はそれを苦にしていないことがあげられます。この時期に、家族や周囲のものが言葉の失敗に対し、いっさい干渉しないで、話すことをよく聞いてやり、家族や周囲のものがゆっくりした話し方で言葉の模範を示してやれば、深刻な問題にならずに治ってしまうケースがほとんどです。

このように幼児期によくみられる話し言葉の乱れを、親たちが話し方がおかしいとか、吃音になるのではないかと不安がるために、子供の話し方に過度の干渉を向け過ぎ、強いては子供に話すことに対する不安やためらいを植えつけ、非流暢性を増加させることになるのです。

二次性吃音

さらに、子供が幼稚園や小学校に入るようになると、それ自体が子供の緊張を高めるだけでなく、親を中心とした身近な人々の話し方に対する干渉から、他の子供や教師からの言葉に対する評価や干渉も増加するので、話し言葉の破壊はさらに進んでしまいます。

この時期になると、自我意識の成長に伴って、吃音に対する情動的自覚が強くなるので、どもったことのある言葉や語音に対する予期不安が強くなります。

そのため、それらの特定の言葉や語音ではいつもどもるようになり、さらに難発性、すなわち口にこもって音として出てこないようになったり、またそれらの言葉を避けて他の言葉で言い換えたりするようになります。

以上のような過程を経て、吃音より複雑に、より重度に発達していきます。そして、吃音は発語に伴う条件づけられた習慣性の反応となり固定化していくのです。

この段階の吃音を二次性吃音と呼んでいます。発達の過程や速さには個人差がありますが、幼児期に発生したものの多くは、小学校高学年ころにはこの段階に達してしまうようです。

二次性吃音のピークは思春期になります。吃音が人格発達の障害となって立ちふさがる時期でもあります。十二才から十八才までの青年前期は、身体的に心理的発達がついていけず、情緒的に大変不安定な状態に陥りやすいものです。また、関心が異性に向く時期でもあります。異性に自分をより良く見せようとして過度の用心と緊張に脅かされます。吃音の悩みは顕在化し、吃音がある以上、朗読でチェックされるから勉強しても仕方がない、異性にもてるわけはない、進学を望んでも面接で落ちるなど、勉学意欲も交友にも否定的になっていきます。吃音の症状も複雑化し、あらゆる工夫を考えて言葉の失敗による傷手を最小限に食い止めようと苦心するのです。吃音への全神経の集中は、生活意欲の喪失、劣等感、攻撃と盲従、空想と失意、自己主張の放棄など、人格を大いに危うくしてしまうのです。

こうして青年期を過ぎた吃音は、可変性の少ない成人吃となっていきます。吃音についても、精神的に耐性ができ上がり少しずつ開き直りが形成されていき、予期不安がなくても条件反射的に症状が出現するようにもなっていくのです。

このように、吃音の症状は一定不変ではなく、一時的にも長期的にも変化していきます。前記ではこのような進展を伴う吃音を、一次性吃音、二次性吃音と分類されているものとして説明しました。一次性吃音が、音節や単語の軽い繰り返し症状を中心とし、二次性吃音は、さらに筋緊張と強い情緒的反応を伴うものと分類できるでしょう。

さらに、ブラッドスティンやヴァンライパーらの研究によって、吃音はだいたい次の四つの段階を経ながら進展することが明らかにされてきました。

第1段階 語音または音節の繰り返し。発語に対する意識はない。発症からあまり月日がたっていないころを初期段階という。「あ、あ、あれ」のように、言葉の出だしを軽く繰り返す症状が主である。

発話中に口元や身体に緊張が加わることもなく、本人は吃音を自覚していない。どもったりどもらなかったりという波があり、その周期は、調子の良い時のほうが比較的長く、ゆったりしている。大事なことを報告するときや気持ちが同様しているときに、より多くどもる傾向がある。
第2段階 語音または音節の引き伸ばし。発語に対して若干の意識。やや発語の不自由さを感じる。

音の繰り返しや引き伸ばしのテンポが以前よりも速く、不整になり、「たたた、たた、たーなーか」のような乱れが見られる。どもっている最中に、本人がそれに気づいたり、時には驚きの顔色をしめしたりするが、普段は吃音のことを意識していない。どもっても平気で話す。
第3段階 発語が詰まる。(ブロック)身体に緊張が生じ、付属症状が表情、身体各部に現れる。発語に努力声が加わる。随伴運動が生じる。心理面では不安が生じフラストレーションに陥る。発語場面・吃音に予期的不安。

移行期と呼ばれ、吃音の悪化が予想される危険な段階で、主に小学校中高学年から中学生にかけて迎える。繰り返しや引き伸ばしに力がこもり、重い感じになる。また、特定の音が出にくいようであり、話すときに不自然に長い間を置いたり、つかえたりする。

第二段階まではあまり見られなかった随伴症状が出るようになる。随伴症状は言葉を無理に出そうとするときに身体に起きる意識的、無意識的運動や動作、過度の緊張状態をいう。身体を前後に倒しながら話す、膝をたたく、手をたたく、その他飛び上がるなど。吃音を気にするようになり、フラストレーションを味わう。人前で話すことを次第に嫌うようになる。
第4段階 発語にブロックの時間・頻度の増大。吃音に対する恐怖の心理。回避行動、コミュニケーション障害。デモステネス・コンプレックス、防衛機制→2次的行動。悪循環、自動的悪化。吃音・どもりの慢性化と進行に伴って、思春期かそれ以後に必然的に到達する段階で、心理面を中心に問題が発展し深刻化する。最も顕著な特徴は、吃音のことが頭にこびりついており、話すときに、どもりはしないだろうかという不安や恐れにおののく。そのためどもりそうな言葉や場面をできるだけ避けたり、話すこと自体を避けたりするなど二次的行動が身につく。

吃音や発話を回避することによって、吃音に対する恐れは一層強まり、それがまた回避反応を生むという悪循環に陥る。吃音はそれを機に、自己強化の道を歩み、内面化が進む。

言語症状がブロックの段階にまで達し発語の不自由感が強まり、随伴運動が生じて聞き手の驚きや奇異なまなざしや態度行動に接する機会も増えてくると、聞き手を意識し、さらに自己の吃音が不安の対象であることに気づく段階に達する。不安は恐怖に変化し、吃音を恐れる「恐れ」の心理となる。ここで初めて「吃音」を予期して回避しようとする態度・行動が生じる。そこで吃音症状に対する恥の意識、隠そうとする意識、どもらないように「ごまかし」の態度、行動が2次的に生じたりする。

この段階がさらに深まると、悪循環といって、吃音→吃音回避行動→恐れ→吃音→回避と循環が形成されると、自動的に吃音は悪化する一方となる。最も重い吃音の段階である。成人の吃音に典型的に見られるものである。

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